スタバで話しかけられるようになった話

スタバで話しかけられるようになった話

ハンサムクロジハンサムクロジ

ここ数年ずっと黒かった髪の毛を脱色した。

一度真っ白にして、そこに色を入れたり、紫のシャンプーでさらに白くしてみたり、ここ数ヶ月遊び続けていた。

気分転換である。
誰だってたまに髪色変えたくなる時あるでしょ。そんな心の声に従っただけです。

ただ、リモートワークやなんだで他人と深く触れ合わない生活を長く続けてきたせいもあって、少しだけ困ったことが起こった。

狙いどおり多少は気分が変わったものの、人格が丸ごと変わるわけではないので、外見と中身のギャップによって上手にコミュニケーションが取れない場面が少なくなかったのだ。

スターバックスの店員さんに話しかけられる

髪の色を変えて一番驚いたのは、スタバの店員さんに話しかけられる回数が極端に増えたことだ。

おそらくスタバのスタッフは上司から「客とコミュニケーションを取りなさい!」と指示され、会話しやすそうな相手を選んで「こちら美味しいですよ」とか「新しいフラペチーノおすすめですよ」などと話しかけているのだろう。

中には会話を無視する客が居たりするのかもしれない。仕事とはいえそんなコミュニケーションは辛すぎる。
きっとできるだけオープンマインドな、話好きそうな、スタバが好きそうな、会話慣れしていそうな人間をチョイスしているはずだ。

もちろん、ぼくはそういったタイプの人間ではない。
今まではそれが伝わっていたからこそ、会話の対象になることはなかったのだ。

が、しかし。

恐ろしいことに、そんなスタバ店員の会話可不可レーダーに、このぼくが引っかかるようになってしまったのだ。

保育園に通っていた一桁歳のころから現在までブレずに家から出たくないと思い続けているぼくが!
妻以外と会話せずに数週間過ごしても全く平気だしむしろそれ以上喋りたくないと思っているぼくが!!
電車に乗るたびに接着してくる乗り合いの人々にイライラして「世界中の人間がぼくと同じ人格だったら楽なのにな」と思ってしまうような危険思想のぼくが!!!

本当に見る目のない店員である。ぼくなんて完全にハズレだ。「髪型かわいいですね」なんて言われても、ぼくの口から咄嗟に言葉は出てこない。
口角の右側だけを釣り上げて不自然なニヤケ顔で「ああ、はあ」としか言えないのだ。

スタバ店員「髪色ピンクですか?」

ぼく「うん、ちょっとピンク……フヒヒ」

フヒヒ、である。これは気持ち悪い。
しかもちょっとかっこつけた。「茶色っぽいピンクなんです」で良いのに、タメ口で「うん、ちょっとピンク」って。本当にこれは無い。マジで無い。最悪だ。

弁解するとしたら、これはね、ぼくはただびっくりしただけなんだよ。急だったから。
スタバで話しかけられることはあっても、まさか髪型褒められると思ってなかったから。

低すぎる自意識と繋がりたいという気持ち

そういう意味で言うと、ぼくは自意識が低すぎるのかもしれない。

自身が誰かに気にされる可能性を排除して生活しているし、誰かに気にされたくて髪型や服を選んでなかった。 自分の選択したものについて、他人からの評価を勘定に入れていなかった。

なので、突然褒められると「そんなバカな。ぼくが良いと思って勝手にやっているものを良いと思う人間が居るはずないのに」と思ってしまう。

え、いやちょっと待って、なにこれ。ぼくって愛に飢えた人間なのかな。書いてて悲しくなってきた。今まで肯定されたことない人間みたいやん。そんなこと無いはずなんだけどな……。

で、続けて店員さん。
「わたし美容学校通ってて、そういう色にしてみようと思ってたんです」
「きれいな色ですね」

そしてぼく。
「へー!ああー、ハハッ。ふーーん!」

なんだ、これ。

せめてハリウッド俳優みたいに歯を出してニカって笑えばよかった。歯並びを直して、ホワイトニングをしようと思った。


ぼくは静かにお釣りとモモフラペとケーキを受け取り、店を出て早足で自宅への道を辿る。日差しは無いのに妙に汗ばんだ。

後悔ばかりだけど、ただひとつ学びとしてあったのは、髪の毛の色が明るいとオープンマインドっぽく見られる可能性が高まるということ。

そういう風に見られたい人は、夏休みに髪の色を明るくしてみるのも良いかもしれない。

でも残念ながら中身は変わらないし、すぐに飽きるし、髪色の管理はかなり面倒だし、スタバの店員に話しかけられやすくなるかもしれない。

そのための準備はしておくように。

みなさんの青春に幸あれ👼